愚か私。

きっとこのまま、私は君が居ない世界に慣れて、

君も私が居ない世界に慣れて、

二日に一回、三日に一回、そうやって少しずつ

私も君も、お互いのことを思い出さなくなる。

久々の自由な休日も、待たなくていい返信も、

泣かなくていい夜も、きっと全てが心地よくて、

ずっとこのままでいい、きっとこれが正解だと、

本気でそう思える日がいつか来ることを

私は知っているし、信じている。

私は君を忘れられる。

君は私を忘れられる。

そんな日がいつか絶対に来る。

嗅ぐ度にドキドキしてしまうような香水の匂いも、

私より少し冷たくて、なかなか温まらない君の体温も、優しくて心地のいい声色も、わざと一緒に終電を逃した日のこと、初めて貰えたプレゼント、溢れてしまうほどの愛情。

全部、君と過ごした大事な日々を全部

私はいつか、「美化された思い出」という名で額縁に仕舞って、何気ない日々を過ごすことになるだろう。

 

わかっている。わかりきっている。

 

だからこそ、絶対に忘れたくないのです。

額縁なんかに仕舞わなくたって、「すぐそこにあるからいい」って思えるほどの距離に居たいのです。

 

君と過ごしても、心が痛くて、つらくて、苦しくて、一日が長く感じて、余裕がなくなって

 

それもわかっている。

 

だけど、いつだって心が痛い理由も、苦しい理由も、つらい理由も、全部君がいい。

 

君以外で苦しくなんてなりたくないし、

君が居ない世界で生きていきたくない、

君が居ないと死んでしまう。

そんな愚か者で居たいのです。