独り。

ひとりが好き。私はひとりが好き。

 

小学1年生の頃からずっと、お弁当はひとりで食べていた。学校では給食だったので、班で食べることが決められていたが、毎週土日に通った習い事では、みんな友達同士で輪になってお弁当を食べる中、私はひとりで食べていた。時々大人の人達に、「みんなと食べないの?」と心配されることもあったが、「ひとりが好きだから」と答え続けた。

 

中学生、高校生になっても、特別仲のいい友達は作らなかった。友達を作らないのは、気を使わなくていいことだ。

 

家に居る時は読書などをして、ひとりの時間を楽しんだ。

 

ひとりの時間は大切だ。一般的に2人で行くようなロマンチックな場所にも、ひとりで行きたいと思えるタイプだ。

 

20歳になっても相変わらずひとりが好きで、それは他者から見ても感じる程なのか、わざわざ声をかけようとしてくる人も居なかった。

 

そんな私でも、ふと誰かと会話をしたくなるような瞬間はあるもので、今更話しかけれる友達も居ないため、スマホでランダム通話アプリを入れた。

やはりこういうアプリは男性の比率が高いらしく、しばらく数人の男性と話したが、会話が弾むような人は居なく、同じ質問、どうでもいい話、見下したような口調、正直うんざりだった。

最後の一人にしようと、繋がったのは珍しく女性の人だった。同性というだけで既に謎の安心感はあるものの、その女性の優しい声に癒された。

「少し疲れてる?」気遣うように女性は言った。

私は今までの愚痴を吐き出したくなった。

 

実はね、お弁当、みんなと食べたかったんだ。

朝が来ない。

何回もデートして、毎日連絡を取り合っていた彼に振られた。

 

その時は酷くつらくて、数年ぶりにリストカットまでした。

救急車で運ばれて、病院に着いて傷を縫った後、家に帰って死んだように眠った。

 

夢を見た。

 

朝になって、また「おはよう」って彼からの返信が来てる夢を。

 

そして左腕の痛みを感じて私は目が覚めた。

 

「嗚呼、もう来ないんだ」って泣いた。